エイプリルフール

児童ポルノのブロッキングについて

 児童ポルノの画像等の閲覧を抑止するため,ネットワーク上で利用者の通信の相手先をリストと照合して通信を強制的に遮断するのがブロッキングです.
 フィルタリングとの違いは,利用者の意思にかかわらず行うことで,検討の過程では通信の秘密との関係が問題になりました.
 児童ポルノの閲覧を抑止することは個別論では国民の皆さんの理解が得やすいものの,その手段としてのブロッキングは利用者全体の通信の秘密と関係することや,技術的には児童ポルノ以外もブロッキングできるため,今でも賛否は分かれています.(詳しくは昨年の解説もご覧ください.)
 最終的には,報告書などで「対象を児童ポルノに限る」と明確にした上,アドレスリストを作成・管理する団体の中立性の確保などを担保しつつ,各社の自主的な取り組みとして進めるという方向性になっています.
 既に大手事業者を中心に導入に向けた検討が進められているようですが,弊社ではお客さまの多くが固定IPアドレスを利用され,自前のサーバを運用されているなど,ネットワークの中立性に対する要望が強いという特殊事情があります.また,弊社では相当な割合のお客さまが自前でDNSを運用されていると考えられることから,DNSブロッキング方式で実効性がどの程度見込めるかという点もあります.
 弊社では,児童ポルノ対策の重要性を十分理解した上,お客さまへの影響,お客さまのご意見などを考慮しながら,慎重に検討してまいりたいと考えております.

児童ポルノの流通の抑止について

 既に昨年もエイプリルフールの機会を使って児童ポルノの問題に若干触れていますが,繰り返しになる点はご容赦ください.
 児童ポルノは犯罪であり,決して許されるものではありません.
 被写体となった児童の尊厳を踏みにじり,自分の画像が流通しているのではないかと怯える人生を余儀なくさせることさえあります.
 このような特性は大人のポルノと全く異なるものであり,軽々に「アダルトの1形態」などと考えないでいただきたいのです.
 電気通信事業者や事業者団体に対し,ブロッキングについて様々な強い要請があったのも,このような児童ポルノの被害の大きさを踏まえて,児童の著しい権利侵害を何とかしようという,自然な心情によるものといえるでしょう.
 一方,電気通信サービスの本旨は,利用者が発信したものが,誰にも秘密を知られることなく,相手先に届くというもののはずです.
 電気通信サービスの不適切な利用が問題となるたびに,結果として通信の秘密の例外が増えていくことについては,電気通信事業者としても本意ではありませんし,国民全体にとってもいいこととは思えません.
 繰り返しのお願いになりますが,電気通信サービスは人々を幸せにするためにご利用いただきたいということの一点です.