バックボーン・ネットワーク

上流側(インターネット側)ネットワーク(合計22Gbps)

 Hurricane Electric・・・10Gbps
 NetIRD・・・1Gbps
 Cogent・・・1Gbps
 EIE(Equinix Internet Exchange)・・・10Gbps
 このほかIXO(地域間高速ネットワーク機構)にも1Gbpsで接続していますが,予備回線としての使用形態のため,通常は容量には算入しません.
 上記のうちEIEはIX(インターネットエクスチェンジ)接続,その他はトランジット接続です.IX接続は同じIXに参加しているネットワークとしか接続できませんが,トランジットはどこにでもつながります.
 上記のうちHurricane,Cogent,EIEの3社への接続(合計21Gbps)は,途中の通信センタ間の回線を10Gbps×2系統で共用しているため,3社で最大同時に使えるのは1Gbps分少なくなります.(ただ,ここがボトルネックになることは,当面は考えにくい想定です.)

下流側(お客さま回線側)ネットワーク(合計22Gbps)

 フレッツ網(普通サービス用)・・・1Gbps×2
 フレッツ網(プレミアムコース用)・・・10Gbps×2

バックボーン容量と通信速度の関係

 EditNetのバックボーンは,いわゆる大手のISP事業者と比べて実に小さなものです.この点について,ご利用中のお客さまやご加入を検討されている方からお問い合わせをいただくことがよくあります.
 簡単にお答えすると,バックボーンの容量も重要ですが,それを共用する人数が何人か?という点のほうが重要な問題です.
 大手ISPのバックボーンは弊社に比べて3桁も4桁も立派ですが,利用者の数がさらに1桁立派であることが珍しくありません.利用者1人当たりで考えると,弊社のバックボーンも決して小さなものではありません.
 もちろん弊社にも弱点はあります.弊社のような小さいISPを選ぶお客さまの層は,ある程度ネットワークやコンピュータなどに詳しい方が中心になります.初心者の方が少ない分,1人あたりのトラヒックは多くなります.人数が少ない以上に1人あたりのトラヒックが多ければ,速度は出なくなってしまいます.(それだけトラヒックを流せる,ということかもしれませんが...)
 このように通信速度はバックボーンの容量以外にもいろいろな要素に左右されますが,EditNetでは,お客さまが十分な情報を得た上でサービスを選択することができるよう,バックボーンの混雑状況や通信速度(実測値)などの情報公開に取り組んでいます.
 (参考リンク)ネットワーク運用状況

利用者1人あたりのバックボーンの比較

利用者数とバックボーンの比較
 これは利用者1人あたりのバックボーンを模式的に表現した図です.
 弊社のサービスは合計22Gbpsの上流回線を約700人のお客さまで共用しています.(2021年1月現在.)
 また,フレッツとの接続点も合計22Gbpsで接続しています.このうち10Gbps×2台はプレミアムコースのお客さま(約70人)に,1Gbps×2台は普通のプランのお客さま(約600人)にご利用いただいています.(いずれも2021年6月現在.)
 バックボーンの容量を公開している大手ISP事業者のwebページを見ると,数百Gbps〜数Tbpsということが珍しくありません.
 これは弊社の数十倍〜数百倍にあたりますが,それを共用する利用者の数は弊社の数千倍〜1万倍くらいですから,1人当たりでみるともしかしたら,EditNetのほうが余裕があるといえるかもしれません.

フレッツとの接続点

フレッツとの接続点
 フレッツ利用型のISPの場合,NTT東西との間に相互接続点を設け,そこで原則すべてのトラヒックの受け渡しをすることになります.
 フレッツのPPPoE方式の場合,どのISPに申し込まれても,基本的には相互接続点で1Gbpsの「網終端装置(NTE)」に一度束ねられます.(2020年11月ころから,10Gbpsの網終端装置も使えるようになりましたが,それほど普及していないようです.)
 違うのはNTEの台数で,弊社は最低限の4台で運用していますが,大手のISPは数百〜数千台の規模で運用しているのではないかと思います.
 NTEはNTT東西が設置する装置で,フレッツの料金でまかなわれる装置のため,1台(1Gbps)を何人で共用するかはNTT東西の基準によります.これは概ね利用者の数で決まり,NTT東日本の場合は一番人数が少ないものでも1600人に1台といわれています(今まではNTT東西の機密情報とされていましたが,総務省の研究会の資料で公になりました).なお,当社を含めて地域系ISPの場合,一定の台数までは300人に1台という特例があります.
 弊社では,2021年4月からは「プレミアムコース」の提供を開始し,10Gbpsの網終端装置2台を約70人で共用しています.普通のプランでも,1Gbpsの装置2台を約600人ですので,1台300人です.1人当たりで考えれば,プレミアムコースは破格,普通のプランでも相当な回線容量を用意しているといえるでしょう.
 1台の装置をこの人数で使えるISPは少ない(多分他にない)と思いますが,商売としてはもう少しお客さまが増えてほしいのが正直なところです.

バックボーンの増強について

 回線が混雑すればすぐにバックボーンを増強できるかというと,そうでもありません.
 混雑の原因がお客さまが増えたことであれば,比較的容易にバックボーンの増強ができる可能性があります.しかし,お客さまの数が同じで1人あたりのトラヒックが増えただけであれば,すぐに増強できるとは限りません.(バックボーンにもムーアの法則が働いているため,仕入れ単価が下がって増強につながることもあります.)
 例えばEditNetでは,「最大1Gbps(出るかもしれない)サービス」を月額1500円(+税)から使うことができます.
 ところが,ISPが上流事業者から仕入れているバックボーンの相場は,概ね1Mbpsあたり月額1000円程度とされています(無難なところでプロバイダー協会の公表資料から引用).1Gbpsなら100万円ですから,1500円とは何桁も違います.つまり,仕入れてきたバックボーンを多くの人で共用してもらうことで,速度の保証がないかわりに安い値段でサービスを提供できるのです.
 ISPの料金は一般的にトラヒックに関係なく月額で決まりますので,利用者の数が決まれば仕入れられるバックボーンの容量がだいたい決まってきます.このため,通信速度は利用者全体の利用動向にも左右されることになります.

「ベストエフォート」の前提としての情報公開

 インターネットのサービスのほとんどは「ベストエフォート」といわれます.「最大限の努力」,裏を返すと結果は保証しないという意味です.
 速度を保証しないならば,せめて利用者が十分な情報を得た上でサービスを選べるようにする必要があると考えますが,現状は驚くほど情報公開が進んでいません.
 EditNetでは1996年のサービス開始当初から,ダイアルアップ回線の利用率,契約数,バックボーンの混雑率などの公開に取り組み,2014年には通信速度の実測値の公開を行っています.
 速いこともあれば遅いこともあるのは弊社のサービスも例外ではありませんが,弊社ではそれを正直にグラフなどでご説明することで,お客さまが十分な情報の元に弊社のサービスを選んでいただけるように取り組んでいます.これも弊社がNWの主要な部分を自社で運用しているからできることです.
 (参考リンク)ネットワーク運用状況