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2005年10月21日
EditNet株式会社
(お問い合わせ先 support@edit.ne.jp)

外向きポート25番への接続の一部制限の試験について

     平素,EditNetをご利用いただきましてありがとうございます.
     弊社では,インターネットを利用する迷惑行為の抑止のため,電気通信事業者の立場でできるだけの対策を講じています.
     しかしながら,迷惑行為の事前抑制のため実施している加入審査の強化に対しても実際には借名や私設私書箱等を用いる事例が存在すること,すべての契約者に対して身分証明書等の提示を求めることは現実的でないことなどから,事前の規制を行うことには限界があるのも事実です.
     このため,現在弊社が取り組んでいる迷惑行為への総合的な取り組みの一環として,「外向き25番ポートへの接続の一部制限」の実証実験を行うことにいたしました.

    外向き25番ポートの制限とは

     弊社に限らずISP利用者からの迷惑メールの送信は,ほとんどの場合「自前サーバ」から行われます.(通常のメール送信の多くがISPのメールサーバを経由するのと対照的です.)
     具体的には,契約者回線に接続された自前のメールサーバから,迷惑メールの送信先のメールサーバの25番ポート(メールを受け取るポート)に直接送信を行います.

     このためすでに一部の事業者において「外向き25番ポートのブロック」が行われています.この方法によれば,利用者が直接外部のメールサーバにメールを送信することができず,必ずISPのメールサーバを経由しなければならないことになります.ISPのメールサーバは送信通数の制御が行われていることが通例であるため,迷惑メールの送信抑止に効果があると説明されています.
     一方,利用者の中には勤務先や他の組織のメールサーバをPOP before SMTPなどの手段により利用している人も多く,弊社のお客様の中にもこうした形態のご利用をされている方が多数いらっしゃると認識しています.弊社は,迷惑メール対策という理由はあるものの一般のお客様への影響が大きすぎ,現時点でこれを採用することは妥当ではないと考えています.
     そもそも通信サービスの利用方法は第一義的には利用者の自由であって(違法行為が後で法律に基づき処分されることは別論),電気通信事業者が一方的に規制することが妥当かという問題については一般の利用者の間でも賛否両論があるものです.(さらに,25番ポートをメールサーバ以外が使うことも禁止されていません.)
     このような状況を踏まえ,できるだけ一般のお客様への影響を避けながら,弊社のネットワークを迷惑メールの送信に利用されにくくする方法を検討してまいりました.

     今回実験を行う手法は,一般利用者と迷惑メール送信者の利用形態およびメーラの機能の差に着眼したものです.
     迷惑メール送信者は,効率よく大量のメールを送信するため,同時に多数のメールサーバへの接続を張り,それぞれから次々とメールを送信する機能を有するメーラを用いるのが普通です.それに対し一般利用者が使用するメーラは同時に多くの接続をすることはなく,また,一度に送信する通数も限られていると思われます.
     このため,(1)同時に外向きの25番ポートに張れる接続の数を一定の数に制限する (2)1回の接続ごとに一定時間の遅延を生じさせ,メールの送信に時間がかかるようにする の2つの対応を実施することで,実質的に契約者回線から直接送信できるメールの量を制限できることを期待しています.
     一般のお客様への影響については,メールの送信操作を行う際に必要な時間が少々延びることがありますが,遅延時間を適切に設定することで,一般のお客様のご不便を少しでも回避したいと考えております.

    試験実施期間

     2005年11月1日から当面の間(3ヶ月〜6ヶ月程度を予定)
     ※ご利用中にご不便を感じられたお客様は,遠慮なく弊社カスタマサービスセンタまでお申し付けください.
     ※試験により通信設備やお客様のご利用に著しい影響が生じた場合は,試験を中断または取り止めることがあります.
     ※2005年11月〜2006年1月(予定)にかけて,バックボーンの増強工事を実施します.工事の都合上必要な場合は,試験実施を中断することがあります.
     ※この制限は,すでに現在でも受信者からの報告もしくは弊社の観測点への着信等により迷惑メールの送信が判明した場合などにおいて,一部の事例で「通信利用の制限」の規定により個別的に実施しています.

    影響を受けるお客さま

     弊社のダイアルアップサービス(フレッツ対応型サービスを含みます.)をご利用のお客さま(固定IPアドレスを利用する場合を除きます).

    影響の内容

     お客様側での設定の変更などは必要ありません.
     外部のサーバの25番ポートへのTCP通信について,同時接続数を制限するとともに,接続開始時の遅延が発生します.
     (弊社のメールサーバに接続する場合は対象になりません.ただし,弊社のメールサーバは別途大量送信の制限を行っています.)
     このため,メールの送信時に遅延時間が若干発生しますが,一般のお客様のご利用に大きな支障がない数値を設定いたします.

    Q&A

    webサイトへのアクセスなどは制限されないのですか.

     全く今までどおりです.
     (25番ポートで立ち上がっている奇妙なwebサイトについてはこの限りではありませんが...)

    固定IPアドレスについては対象外なのですか.

     固定IPアドレスをご利用の方については,メールサーバを自前で立ち上げることが通常の利用形態といえること,大量のメールを送信する方もいらっしゃるため,今回の制限の対象ではありません.
     しかし,迷惑メールの送信が行われているとして弊社に申告が多く寄せられる方に対しては,提供約款の規定により個別的に通信利用の制限を行い,もしくは利用停止等を実施させていただくことになります.

    メールサーバに同時につながらないというのは,どういうことですか.

     お客様の設備から外部のメールサーバに直接接続できるセッションの数が制限されるということです.
     一般のお客様がお使いのメーラは,大量のセッションを同時に張るような仕様ではありません.このため,同時接続数の影響は受けないものと思われます.
     なお,お客様によってはご家族で複数台のパソコンをお使いの場合などが考えられます.同時接続数の制限は,このような場合を想定した数を設定します.(パソコンの台数が多い場合は全部が同時に接続できない可能性がないとはいえませんが,外部のメールサーバへのSMTPセッションを同時に張ることの制限ですので,通常は問題にならないと考えています.)

    接続遅延というのは,メールの送信が遅くなるのですか.

     メールサーバへの接続までにかかる時間を長くすることで,1回の接続に必要な時間を延ばすものです.
     メールサーバにつながった後のメールの送信などには影響を与えませんので,容量の大きいメールの所要時間が大幅に長くなるものではありません.
     迷惑メール送信者は,大量の短いメールを多くのメールサーバに直接送信するため,1つのメールサーバに接続するごとに遅延を発生させることで,このような利用形態に大きく制限をかけることができます.

    制限値,遅延時間はどのくらいですか.

     状況により随時変更されることがあることと,制限値等を公表することは迷惑メール対策の支障となることが予想されるため,公表することは考えていません.

    他事業者が実施する「ポート25番ブロック」とは違うのですか.

     ポート25番ブロックは,外向きの25番ポートへの通信を一律に禁止するものです.
     今回試験実施する制限は,これを一律に制限するものではなく,同時接続数の制限と接続遅延を導入することで,外向き25番ポートの利用が必要な方の利便性をできるだけ損なうことなく,迷惑メールの送信に弊社のネットワークを使いにくくするための方策です.どうかご理解をお願いいたします.

    迷惑メールの送信者に対する利用停止等は,この制限により代替されるのですか.

     迷惑メールの送信者に対しては,引き続き利用停止等の措置を実施してまいります.今回実施する制限は,制度上だけでなく技術上の取り組みとして並存するものと考えています.
     しかし,自前サーバによる迷惑メールの送信については,利用停止の根拠となる事実の確認が,メールの受信者からの申告のみに基づくものです.
     このため,弊社に迷惑メールを受信した旨の報告が多数寄せられ,弊社で事実関係を十分確認できる場合に利用停止等の措置を実施することとなっています.
     今回の制限の実施により,迷惑メールの送信にかかる時間が長くなり,同じ時間で送信できるメールの数が大きく制限されることになります.
     このため多数の報告が寄せられるまでに要する時間も今までよりも長くなることが予想されます.ご報告をいただいてから利用停止等の対応に要する時間は長くなる可能性があることをご理解ください.

    各契約者の通信量や利用傾向などを収集するのですか.

     ご懸念のとおり,お客様個別の通信量,特にご利用目的が容易に推測できるポート番号ごとの通信量については,通信の秘密として厳格に取り扱うべきものと考えています.
     例えば,通信量を機械が分析し,メールと思われるトラヒックが多い利用者に対し自動的に制限をかけるようなしくみであれば,その情報の取り扱いについて慎重に考えなければなりません.
     弊社が今回実施する制限においては,実際に行われた通信の量などを解析するわけではなく,事前に一律に同時接続数や遅延時間を設定するため,お客様ごとの通信量を記録するしくみにはなっていません.どうかご安心ください.